── イラレを手放そうとしていた週の話。
Adobeをやめようかと思っていた。
イラストレーターを立ち上げる回数が、目に見えて減っていたからだ。月額だけが、毎月きちんと引き落とされていく。
そんな矢先に、日本語のフォントを選ばなくちゃいけないタイミングが来た。あるコミュニティのロゴを、文字で組むことになったのだ。
フォントタイプたくさんあるので。
自分でそう言いながら、Canvaに「〇〇の会」という文字を12個並べた。あとは1つずつ書体を変えていけばいい。
ところが、そこで手が止まった。
ロゴは、並べて比べないと決まらない。
そして、並べて比べるのが一番面倒くさい。
それで、AIに頼んで比較するページを作ってもらった。最初は12書体。丸いもの、静かなゴシック、明朝、手書き。
もっと変わったフォントありませんか?
33書体になった。筆のもの、古い活字、太くて印象的なもの。
もう一声!
48書体になった。Google Fontsの日本語は、これでほぼ出し切ったらしい。
並べてみると、今度は色を当てたくなった。グラデーションは2色か3色か。太さはどうか。
そして最後は、イラレがないと困る。文字をばらして、1文字ずつ動かしたいからだ。
Figmaで書き出して、バラバラにして、うごかせたりするといいな。
そう言ったら、そういう道具ができた。文字を打ち、書体を選び、色を決める。アウトライン化したSVGで書き出せば、Figmaでそのまま、ばらして動かせる。
イラレを開かずに、ロゴの文字が組めてしまった。
48書体を並べても、道具を作っても、どれにするかは決まらない。
選ぶところだけは、道具が肩代わりしてくれない。
決まらないのは、フォントの問題じゃないのかもしれない。その会が、どんな佇まいでいたいのか。そこがまだ、言葉になりきっていない気がする。
Adobeは、たぶんやめる。
── いや、最後の1文字を詰めるときに、やっぱりイラレが欲しくなる気もする(笑)。