フブキ代表 角川英治です。
ふとした瞬間に、「これだ!」というアイディアが降りてくることはありませんか?
シャワーを浴びている時、散歩をしている時、あるいは美味しい珈琲を飲んでぼんやりしている時。経営者にとって、こうした**「直感」**こそが、現状を打破する最大の資産であることは昔も今も変わりません。
しかし、生成AIの登場によって、この「直感」の扱い方が劇的に変わりつつあります。今日は、AI時代における経営者の新しい心の在り方と、最後に待ち受ける「人間的な真理」についてお話しします。
これまでの経営において、ふとしたアイディアを会議のテーブルに乗せるまでには、多大なコストがかかりました。「市場調査は?」「類似事例は?」「根拠は?」という問いに答えるための準備が必要だったからです。
しかし今は、そのアイディアをAIに投げかけるだけで状況が一変します。
「〇〇というビジネスモデルを思いついたのだが、これの妥当性を、行動経済学と最新のテックトレンドの観点から検証し、大学論文レベルの背景ロジックを構築してくれ」
数秒後には、あなたの単なる「思いつき」が、**学術的な裏付け(エビデンス)と論理的な整合性を持った「仮説」**へと昇華されます。今まで数週間かかっていた「直感の言語化・正当化」が、一瞬で完了するのです。
アイディアの検証と肉付けをAIが超高速で担ってくれるならば、経営者の役割はどう変わるでしょうか?
それは、**「より良質な直感を、無意識から拾い上げること」**に特化することです。
脳科学的にも、人間は緊張状態よりもリラックスしている時(デフォルト・モード・ネットワークが活性化している時)の方が、過去の記憶や知識が創造的に結びつきやすいと言われています。
つまり、これからの経営者は、眉間に皺を寄せてデスクにかじりつく必要はありません。むしろ、意図的にリラックスし、無意識を遊ばせておくことこそが、AIという強力なエンジンのポテンシャルを最大限に引き出す鍵となるのです。
「なんとなく」を大切にする。
余白を持つ。
遊び心を持つ。
AIという最強の参謀がいるからこそ、トップはもっと自由で、直感的であっていいのです。
さて、ここまでは非常に夢のある話です。
あなたはリラックスした状態で素晴らしいアイディアを閃き、AIが完璧なロジックと市場優位性を証明してくれました。あなたは興奮して、その完璧な企画書を社内に持ち込みます。
「AIも検証済みだ。ロジックに穴はない。さあ、やるぞ!」
しかし、ここで多くの経営者が壁にぶつかります。
スタッフの反応が鈍いのです。
「社長、言ってることは正しいですが……」
「今の現場のリソースでそれをやるんですか?」
「その理屈はわかりますが、腹落ちしません」
どんなにAIが「大学論文レベル」の正当性を証明しても、**それを実行するのは生身の人間(スタッフ)**です。
AIは論理(ロジック)を完璧に組み立ててくれますが、**合意形成(コンセンサス)**までは代行してくれません。むしろ、AIによって武装された「反論の余地のない完璧な正論」は、時にスタッフを置き去りにし、心理的な反発すら招くことがあります。
AIとリラックスが生み出した「種」を、現実の「果実」にするために必要なもの。
それは結局のところ、関係するスタッフとの泥臭い対話と、心の通った合意形成です。
「なぜこれをやりたいのか」というあなたの情熱。
「みんなでどう幸せになりたいか」というビジョン。
これらを伝え、スタッフが「よし、やってやろう」と納得して初めて、プロジェクトは成功へと動き出します。
AIで「正解」は作れても、最後は「共感」がないと現実は動かない。
リラックスして閃き、AIで検証し、最後は汗をかいて仲間を口説く。
このハイブリッドなプロセスこそが、これからの時代の経営の醍醐味なのかもしれません。
御社の組織において、経営層の「直感」と現場の「実行力」をつなぐコミュニケーションに課題はありませんか?
AI活用を含めた、新しい時代の意思決定フローとチームビルディングについて。
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