こんにちは。「かくさん」こと、株式会社フブキ代表の角川英治です。
この記事は、自社ブログのタグを棚卸しした経験から書いています。結論だけ先に言うと、「SEOを意識したタグ設計」は、AI検索時代においてほぼ機能しません。そして同じ間違いを、多くのクライアント企業のWebサイトでも見てきました。
「SEOで機能していたタグ設計の多くは、AIOではほぼ機能しません。」
ただし「タグが悪い」のではありません。タグの付け方の「前提」が、AI検索の仕組みと根本的にずれているのです。
従来のSEOにおけるタグの役割はシンプルでした。
「検索されるキーワードをタグにする → そのタグページに関連記事を集める → 検索上位を狙う」
だから多くのサイトのタグは、こういう構造になっています。
これらの設計思想は共通しています。「人がGoogleに入力しそうなキーワード」をタグにする、という発想です。
自社のJournalタグを棚卸したところ、こんなタグが並んでいました。
「dokie ai」「claude ai」「contents hub」「Tech / Tool」「cookie」「googleカレンダー」
これらはすべて、ツール名・技術用語・製品名です。SEO的な発想では正しい。実際にそれらのキーワードで検索する人はいます。
しかし冷静に考えると、フブキが本当に話したい相手は誰か。「dokie aiというツールを探している人」ではなく、「Webサイトの更新が社内でうまく回っていなくて困っている担当者」や「リニューアルで社内の合意が取れなくて悩んでいる経営者」のはずです。
タグと、届けたい相手が、ずれていました。
そしてこのズレは、AI検索の時代においてより大きな問題になります。
Google検索では、ユーザーが入力するキーワードに対して、そのキーワードを含むページを返します。だからキーワードを含むタグが機能していた。
AI検索では、ユーザーはこう入力します。
「BtoBのWebサイトをリニューアルしたいのですが、社内で意見がまとまらなくて困っています。どうすればいいですか?」
これはキーワードではなく、シチュエーションの説明です。AIはこの問いの意図を理解したうえで、「この状況にいる人に最も役立つコンテンツ」を選んで推薦します。
「CMS」「HubSpot」といったキーワードがタグに含まれているかどうかは、AIの判断にほとんど影響しません。
SEOの鉄則は「検索ボリュームのあるキーワードを使う」でした。月間検索数が少ないキーワードは優先度が低い、とされていました。
AIOでは、この前提が崩れます。
たとえば「社内がまとまらない」というフレーズを、Googleで検索する人はほとんどいません。しかしAI検索では、「Webリニューアルで社内の合意が取れない」という問いに対して、このフレーズが含まれるページが強力に参照されます。
なぜか。AIはキーワードの一致ではなく、文脈の一致でページを評価するからです。
「社内がまとまらない」は、検索ボリュームとしてはほぼゼロです。しかし「担当者が上長を説得できない」「部門ごとに意見が割れている」「リニューアルが何度も頓挫した」という問いの文脈に、深くマッチします。
これが、SEO的には「無価値なキーワード」がAIOでは「高価値な文脈ワード」になる理由です。
SEOでは、タグページ(例:/blog/tag/hubspot)を一種のランディングページとして機能させることができました。同じタグの記事が集まることで、そのテーマの権威性を示す狙いがありました。
AI検索では、AIがタグページを経由せず、記事の本文を直接参照します。タグの名前よりも、記事が「誰のどんな問いに、どう答えているか」の方が、AIの推薦に影響します。
つまりタグは、AIへの影響という意味では従来より重要度が下がっています。しかしだからこそ、タグの設計を「AIのため」ではなく「読者が関連記事を辿るため」という本来の目的に立ち返って考え直す価値があります。
ここからが本題です。AI検索時代にコンテンツのキーワード(タグを含む)を設計するうえで、押さえておくべき前提を整理します。
「このキーワードで検索する人がいるか?」ではなく、「この問いを持っている人がいるか?」を出発点にしてください。
問いの形式で考えると、こうなります。
| SEO的キーワード発想 | AIO的「問い」発想 |
|---|---|
| 「Web制作会社 比較」 | 「Web制作会社をどうやって選べばいいか」 |
| 「HubSpot 使い方」 | 「HubSpotを入れたけど社内で使いこなせていない」 |
| 「採用サイト 制作」 | 「採用サイトを変えたいが誰が管理するか決まっていない」 |
| 「SEO対策」 | 「ブログを書いているのに問い合わせが来ない理由が知りたい」 |
「問い」で考えると、自然とコンテンツが具体的になります。
業種・技術用語・製品名ではなく、読者が「今どういう状況にいるか」を軸にキーワードを選んでください。
良い例:「社内がまとまらない」「上長の承認が下りない」「担当者が一人しかいない」「リニューアルが何度も頓挫している」
これらは検索ボリュームがほぼゼロです。しかしAI検索では、これらの状況にいる人の問いに対して、このシチュエーションを的確に描写したコンテンツが参照されます。
AI検索では、コンテンツが「誰のためのものか」の文脈もAIが読み取ります。
経営者向けの記事なのか、現場担当者向けの記事なのか。記事の冒頭で明示することで、AIがその記事を「この状況の人に推薦すべきコンテンツ」として認識しやすくなります。
フブキでは記事冒頭に「この記事は〇〇な方へ」という一文を入れる設計に変えています。
AI検索エンジンは、「問いと答え」がセットになっているコンテンツを参照しやすい傾向があります。記事の末尾に「よくある質問」セクションを設けることで、AIOへの適合度が上がります。
この記事自体も、その構造を採用しています。
上で述べた通り、AI検索においてタグページの直接的な影響は小さくなっています。タグの本来の役割は、「同じ悩みを持つ読者が関連記事を辿れるようにすること」です。
その観点では、「HubSpot」というタグよりも、「Web内製化」というタグの方が、読者にとって意味があります。前者は「ツールを知っている人」しか辿りませんが、後者は「自社でWebを運用したい人全員」が関連記事として辿れます。
Q. 既存のSEOタグはすべて捨てるべきですか?
A. すべてを捨てる必要はありません。「読者の悩み・状況を表しているか」で判断してください。「合意形成」「リブランディング」「採用サイト」のように、読者の問いや状況に対応しているタグは残す価値があります。一方、「CMS」「API」「Tech / Tool」のような技術カテゴリータグは、AIOにおいては読者の導線としての効果が薄い場合が多く、見直しを検討する余地があります。
Q. AIOキーワードとSEOキーワードは、別々に考えるべきですか?
A. 完全に別物ではありませんが、優先順位が変わります。SEOは「このキーワードで検索されるか」、AIOは「この問いに答えているか」が判断軸です。両方の観点で設計することが理想ですが、リソースに限りがある場合は「問い」を起点にした設計が、SEOとAIOの両方に対して効果的です。
Q. 「検索されないワード」をコンテンツに使っても本当に意味がありますか?
A. AI検索においては意味があります。ただし注意点があります。「検索されないが、問いの文脈にマッチするワード」は価値を持ちますが、「誰の問いにもマッチしない独りよがりのワード」は意味がありません。判断基準は「このシチュエーションにいる読者は実在するか」です。実在するシチュエーションを描写したワードであれば、検索ボリュームがゼロでも、AIが参照するコンテンツになりえます。
タグひとつの話から始まりましたが、辿り着くのは「誰に、何を届けるか」という問いです。
SEOの時代は、アルゴリズムに合わせてキーワードを選べばよかった。AIOの時代は、読者が持つ「問い」と「シチュエーション」を深く理解することが、コンテンツ設計の起点になります。
その整理から始めたい方は、ぜひフブキのCCBまでご相談ください。