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企業の幸福的成長を体現する戦略的スローガン提案指針

作成者: EIJI KAKUGAWA|Aug 17, 2025 8:51:01 AM

 

ロバート・ディルツ「5つの鞘」に基づく企業の幸福的成長を体現する戦略的スローガン提案レポート



1. エグゼクティブ・サマリー

 

本報告書は、ロバート・ディルツが提唱した「5つの論理レベル(ニューロロジカルレベル)」を、企業の「幸福的成長」という目標達成のための戦略的フレームワークとして再構築し、これを中核に据えたブランドスローガン戦略を提案するものです。ご提示いただいた5つの「鞘」の定義に準拠し、各レベルの本質的な意味を深く掘り下げ、企業が社会に提供すべき多層的な価値を言語化します。

分析の結果、企業ブランディングにおけるスローガンは、単なる広告文句ではなく、企業の存在意義(パーパス)を顧客、従業員、そして社会全体に約束する「プロミス」であると認識されます 1。ディルツのモデルが示すピラミッド構造は、最上位の概念である「コーポレートアイデンティティ」が下位のすべての活動を規定し、一貫性と説得力を生むという重要な原則を提示しています 3

本報告書では、各「鞘」の理念に対応する5つの戦略的キーワードを選定し、そこから導き出される10個のスローガン案を提示します。これらのスローガンは、単一の価値を表現するのではなく、複数の「鞘」に跨るキーワードを組み合わせることで、企業の多角的な価値観を統合的に表現し、すべてのステークホルダーとの間に深い共感と信頼を築くことを目指します。

 

2. はじめに:幸福的成長のための戦略的スローガン



スローガンが持つべき役割の再定義

 

企業が掲げるメッセージには、その目的や期間に応じて様々な種類が存在します。マーケティングにおいて、混同されやすい概念として「タグライン」「スローガン」「キャッチコピー」が挙げられますが、それぞれが果たす役割は異なります。キャッチコピーは特定のキャンペーンや広告のために作成され、短期的な影響を狙うフレーズです。これに対し、ブランドスローガンやタグラインは、企業やブランドの普遍的価値や長期的なメッセージを伝えるために使用され、一貫性が求められます 2。例えば、アサヒビールの「すべてはお客さまの『うまい!』のために。」やロッテの「お口の恋人」といったフレーズは、企業の本質的な存在価値を端的に表し、長期にわたって消費者に強い印象を与えています 5

本報告書で提案する「スローガン」は、この「タグライン」に近い概念として捉えられます。それは、単に製品の魅力を伝えるだけでなく、企業の普遍的な価値と想いを顧客に分かりやすく伝えるための、長期的な戦略の基盤となる言葉です 7。このようなスローガンは、顧客に対する「プロミス」として機能し、企業が何を提供し、どのように価値を届けるのかを明確に示すことで、ブランドの認知度向上、信頼構築、そして市場における差別化に貢献します 2

 

ロバート・ディルツの「5つの鞘」の戦略的意義

 

ご依頼の根幹をなす、ロバート・ディルツの「5つの論理レベル」は、人間行動の動機づけを階層的に捉えるNLP(神経言語プログラミング)の重要なモデルです 3。このモデルは「どこでやるか(環境)」「何をやるか(行動)」「どうやるか(能力)」「なぜやるか(信念・価値観)」「自分は何者か(自己認識)」という5つのレベルで構成されています 4

このピラミッド構造を企業のブランディングに応用する最も重要な点は、上位のレベルが下位のレベルの行動を規定するという因果関係です 4。たとえば、「なぜ」事業を行うのかという「信念・価値観」レベルの問いが明確でなければ、具体的な「行動」は曖昧になり、意欲も持続しません 4。逆に、最上位の「自己認識(コーポレートアイデンティティ)」を確立すれば、それに相応しい「信念」や「能力」、ひいては具体的な「行動」や「環境」が自然と定まり、全ての企業活動に一貫性が生まれます。

ご提示の「幸福的成長」というテーマは、まさにこのピラミッドの最上位に位置するべき、究極的なゴールです。この階層的なフレームワークを用いることで、単なる言葉の羅列ではない、企業の存在意義から具体的な行動までが一貫して結びついた、戦略的かつ説得力のあるスローガンを構築することが可能となります。

 

3. 第一の鞘:共鳴する未来 - 環境調査&分析



鞘の定義と本質的意義

 

この「鞘」は、企業が活動する外部環境、すなわち市場、社会、地域性を指し、ディルツのモデルにおける「環境」レベルに相当します 3。これはピラミッドの最下層に位置し、企業がどのようにその場に存在するかを規定する基盤です。現代においては、単なる市場機会の分析に留まらず、社会・環境課題への貢献が不可欠な要素となっています。サステナブル・ブランディングが示すように、社会や環境に対する配慮は、もはや企業の選択肢ではなく、顧客、従業員、投資家など全てのステークホルダーから求められる前提条件です 8。企業は、単に外部環境に適応するのではなく、積極的に関与し、より良い社会の形成に貢献する役割を担うべきであると考えられます。

 

キーワード選定と分析

 

この鞘の理念を体現する5つのキーワードを以下に選定しました。

  • 1. 持続可能性(Sustainability): 環境問題や社会課題への長期的な貢献姿勢を示す中核的な言葉です。持続可能な社会の実現を目指す企業の取り組みは、顧客のファン化や優秀な人材の確保など、多岐にわたる効果を期待できます 8。ESG、SDGs、サーキュラーエコノミーといった概念とも深く関連し、企業活動に一貫性をもたらす鍵となります 8
  • 2. 共創(Co-creation): 企業が一方的に価値を提供するのではなく、顧客、地域、社会と協働して新たな価値を創造する能動的な姿勢を表します。これは、大和ハウスが「人・街・暮らしの価値共創グループ」を掲げるように、企業が社会の公器として機能することを意味します 10
  • 3. 共生(Symbiosis): 人間と自然、企業と地域が調和し、共に栄えるという、より深い哲学的な概念です。単なる環境保護を超え、相互依存的な関係の中で、持続的な繁栄を目指す姿勢を表現します。
  • 4. 循環(Circulation): 資源や価値が一方通行ではなく、永続的に循環するビジネスモデルを志向する言葉です。サステナブルな製品(再生紙パッケージなど)やサーキュラーエコノミーの取り組みと親和性が高く、環境負荷を低減しつつ、コストの安定化にも寄与する可能性があります 8
  • 5. 未来(Future): 企業が現在だけでなく、未来の世代や社会にどのようなポジティブな影響を与えるかを意識する視点です。持続可能なテクノロジーや、将来の課題を見越した情報開示(CSRDなど)の準備は、この「未来」に対する責任と姿勢を示すものです 9

 

4. 第二の鞘:価値を創出する行動 - 活動&検証



鞘の定義と本質的意義

 

この「鞘」は、企業の具体的な活動、すなわち製品やサービスの機能・性能を指し、ディルツのモデルにおける「行動」レベルに相当します 3。これは「何(What)をするか」という問いに答えるレベルであり、顧客に提供する具体的なアウトカム(成果)を表現します 3。現代の市場では、単なる機能的価値だけでは差別化が困難であり、顧客は製品やサービスを通じて得られる「体験」や「解決策」により大きな価値を見出す傾向があります 12。したがって、このレベルのキーワードは、単に製品の性能を列挙するのではなく、顧客にとっての具体的な「成果」や「感情」を表現することが重要です。

 

キーワード選定と分析

 

この鞘の理念を体現する5つのキーワードを以下に選定しました。

  • 1. 解決(Solution): 顧客の抱える「ペイン」(悩みや課題)を解消する具体的な行動やサービスを表します 14。ビジネスにおいては「ソリューション」という言葉で表現されることが多く、これは単なる製品の提供ではなく、顧客の課題を解決するという目的意識を示唆します 15
  • 2. 体験(Experience): 製品やサービスを通じて顧客が得る感覚的、感情的な価値を指します。顧客体験(CX:Customer Experience)は、機能を超えたブランドの差別化要因として近年注目されています 12
  • 3. 貢献(Contribution): 顧客の目標達成や課題解決に役立つという、より積極的な関わりを示します。これは、製品やサービスが顧客の人生や事業にプラスの影響を与えることを意味し、顧客との強固な関係を築く上で不可欠な要素です 14
  • 4. 成果(Outcome): 顧客が製品・サービスを利用することで得られる具体的な結果を指します。これは、企業が提供する製品が、顧客の目的(Goal)と直接的に結びついていることを明確に示します 3
  • 5. 創造(Creation): 「あったらいいなをカタチにする」という小林製薬のタグライン 5が示すように、これまでにない新しい価値やソリューションを生み出す姿勢を表します。これは、単に既存の課題を解決するだけでなく、新たな可能性を開くという企業の行動理念を体現します。

 

5. 第三の鞘:真価を解き放つ能力 - 能力&開発



鞘の定義と本質的意義

 

この「鞘」は、企業が「どのように(How)」独自の価値を生み出すか、その能力や強みを指し、ディルツのモデルにおける「能力」レベルに相当します 3。このレベルの価値は、単一の製品機能(第二の鞘)を超えて、ブランド全体が提供する普遍的な価値を包含します 5。例えば、カルピスの「カラダにピース。」というタグラインは、機能的価値(身体に良いこと)と情緒的価値(ピースフルな気持ち)を統合した普遍的な価値を表現しています 5。このレベルの価値を明確にすることは、企業文化を形成し、競争の激しい市場で差別化を図るための重要な土台となります 2

 

キーワード選定と分析

 

この鞘の理念を体現する5つのキーワードを以下に選定しました。

  • 1. 信頼(Trust): 顧客との関係性において最も重要な価値です。ライザップの「結果にコミットする」 16のように、顧客への約束を明確に言語化し、それを実行することで、ブランドへの揺るぎない信頼を構築します。
  • 2. 感動(Inspiration): 顧客の期待を超える、情緒的な価値の提供です。ソニーのパーパス「世界を感動で満たす」 17や、ANAのタグライン「Inspiration of JAPAN」 16のように、顧客の心を動かす体験を生み出す企業の能力を象徴します。
  • 3. 成長(Growth): 顧客、従業員、そして企業自身が共に成長していくという価値です 18。これは、ユーザーのクエリの中心にある「幸福的成長」と直接的に結びつく言葉であり、企業が単なる利益追求を超え、すべての関与者と共に発展していくことを目指す姿勢を表します。
  • 4. 独自性(Uniqueness): 競合他社にはない、唯一無二の強みや価値観です。無印良品の「引き算の美学」 20や、バーミキュラの「暮らしを変える鍋」 20は、独自の哲学がブランド価値を著しく高めた好例です。
  • 5. 誠実(Integrity): 企業活動の根幹をなす倫理観です。京セラの経営理念 18や、資生堂の社名に由来する「至誠堂(まことを至す)」 20に見られるように、この価値観はブランドの文化的価値を支え、長期的な信頼の基盤を築きます。

 

6. 第四の鞘:物語に宿る信念 - 信念共有



鞘の定義と本質的意義

 

この「鞘」は、企業が「なぜ(Why)」この事業を行うのかという動機づけを指し、ディルツのモデルにおける「信念・価値観」レベルに相当します 3。創業者の個人的な価値観や哲学は、単なる経営方針ではなく、ブランドの魂となり、顧客や従業員の共感を呼び起こす「物語」を形成します 21。この信念が明確であれば、企業活動に強い目的意識とモチベーションが生まれます 4。信念は、単なる論理的な説明ではなく、感情を揺さぶるストーリーとして語られることで、初めて真の「共有」に繋がります 22

 

キーワード選定と分析

 

この鞘の理念を体現する5つのキーワードを以下に選定しました。

  • 1. 志(Aspiration): 創業者が抱く高い理想や目標です。大和ハウスの創業者精神「会社は社会の公器やからな」 10のように、単なる利益追求を超えた、社会への貢献という大義名分を表します。
  • 2. 情熱(Passion): 困難を乗り越え、事業を推進する原動力となる、創業者の強い思いです 23。この情熱は、従業員や顧客を巻き込み、一体感を醸成する力となります。
  • 3. 共感(Empathy): 顧客や社会の課題に寄り添う姿勢です。環境保護を中心としたストーリーで多くの顧客の共感を得ているパタゴニアの事例 21は、この重要性を示しています。
  • 4. 挑戦(Challenge): 未知の領域へ踏み出し、現状維持に甘んじない勇気や姿勢です。サントリーの「やってみなはれ」精神 18や、トヨタ自動車の「もう一度、新しい車の楽しさを創造させたい」という思い 6は、この価値観を象徴しています。
  • 5. 物語(Story): 創業の背景や失敗の経験など、ブランドの人間味を伝えるための叙述的な要素です 21。スティーブ・ジョブズや豊田章男のスピーチに見られるように、失敗を正直に語ることで、聞き手との間に信頼関係と深い感情的な絆が生まれます 22

 

7. 第五の鞘:存在意義という羅針盤 - コーポレートアイデンティティ



鞘の定義と本質的意義

 

この「鞘」は、企業の「誰(Who)」であるか、そして「なんのために存在するのか」という最も上位の概念であり、ディルツのモデルにおける「自己認識」レベルに相当します 3。これは、すべての企業活動の指針であり、組織文化、従業員のエンゲージメント、そしてブランドの最終的な存在理由を決定します 1。近年、従来のミッション(何を行うべきか)、ビジョン(どこを目指すか)、バリュー(どのように実現するか)のフレームワークに「パーパス(なぜ社会に存在するか)」という概念が加わり、その重要性が増しています 17。パーパスは、利益追求を超えた、企業の本質的な存在意義を問い直すものであり、ブランドの最も深い層を形成するものです 1

 

キーワード選定と分析

 

この鞘の理念を体現する5つのキーワードを以下に選定しました。

  • 1. パーパス(Purpose): 企業の「存在意義」を指します 1。これは、すべての企業活動を意味づけ、正当化する最上位の概念です。パナソニックグループのブランドスローガン「幸せの、チカラに。」 24は、まさにこのパーパスを直接的に表現した好例です 24
  • 2. 使命(Mission): 企業が達成すべき具体的な任務です。パナソニックグループが掲げる「物質的にも精神的にも豊かな、理想の社会の実現」 24のように、企業の進むべき方向性を示す羅針盤としての役割を担います。
  • 3. 幸福(Happiness): ユーザーのクエリの中心にある概念であり、現代的な企業理念の核となりつつある言葉です 18。従業員、顧客、そして社会全体の幸福を追求するという、企業が掲げる究極的な約束を表します。
  • 4. 貢献(Contribution): 社会の進歩発展に寄与するという、企業としての役割を明確にする言葉です 18。これは、単なる経済活動を超え、より大きな社会的存在としての役割を担うという意識を示します。
  • 5. 感動(Emotion): 顧客の期待を超える体験を提供し、感情を動かすことで、深い絆を築くという究極のゴールです 17。ソニーのパーパス「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」は、この価値観を最上位に置いています 17

 

8. 提案: 「5つの鞘」を統合するスローガン案10選



表1:5つの鞘に対応するキーワード一覧

 

以下に、これまでの分析に基づき、各「鞘」の理念を体現するキーワードを一覧表としてまとめました。これらのキーワードを戦略的に組み合わせることで、多層的な価値観を統合したスローガンを構築します。

鞘の名称

キーワード1

キーワード2

キーワード3

キーワード4

キーワード5

1. 環境調査&分析

持続可能性

共創

共生

循環

未来

2. 活動&検証

解決

体験

貢献

成果

創造

3. 能力&開発

信頼

感動

成長

独自性

誠実

4. 信念共有

情熱

共感

挑戦

物語

5. コーポレートアイデンティティ

パーパス

使命

幸福

貢献

感動

 

表2:スローガン案と戦略的意図

 

上記キーワードを組み合わせ、企業の「幸福的成長」を体現する10個のスローガン案を提案します。各案には、その戦略的意図と、どの「鞘」の概念を統合しているかを明確に示します。

スローガン案

採用キーワード

統合された鞘の概念

提案理由(戦略的意図)

1. 未来を、幸せで満たす。私たちの挑戦。

未来、幸福、挑戦

第一の鞘(環境)、第五の鞘(CI)、第四の鞘(信念)

社会や地球の「未来」というマクロな視点と、企業の「挑戦」という行動を結びつけ、「幸福」という究極的なパーパスにコミットする企業像を描く。

2. 感動は、成長と共にある。

感動、成長

第三の鞘(能力)、第五の鞘(CI)

顧客に「感動」を与えることが、企業と顧客双方の「成長」に繋がるという、価値共創のサイクルを表現。情緒的価値を重視するブランドに最適。

3. すべての活動は、笑顔というソリューションへ。

活動、解決、幸福

第二の鞘(活動)、第五の鞘(CI)

企業の具体的な「活動」が、顧客の課題を解決する「ソリューション」となり、最終的に顧客の「幸福(笑顔)」に貢献するという、下位から上位への論理的な流れを簡潔に表現。

4. 志を掲げ、未来を共創する。

志、未来、共創

第四の鞘(信念)、第一の鞘(環境)

創業者の「志」を原動力として、顧客や社会と共に「未来」を切り拓くという、能動的で協調的な姿勢を示す。

5. 誠実という名の、ゆるぎない信頼。

誠実、信頼

第三の鞘(能力)

顧客との関係性の基盤である「信頼」を、企業活動の根幹をなす「誠実」さによって築くことを宣言。普遍的で強固なブランド価値を表現。

6. 幸せを、形にする創造力。

幸福、創造

第五の鞘(CI)、第二の鞘(活動)

抽象的な概念である「幸福」を、具体的な製品やサービスを通じて「形にする」という、企業の使命と能力を明確に表現。

7. 幸せの循環を、この街から。

幸福、循環、共生

第五の鞘(CI)、第一の鞘(環境)

企業の活動が、地域社会に「幸福」という価値を継続的に生み出し、それが「循環」していくという持続可能なビジョンを地域性と共に表現。

8. その成長に、私たちの情熱が貢献する。

成長、情熱、貢献

第三の鞘(能力)、第四の鞘(信念)、第二の鞘(活動)

顧客や社会の「成長」に対する貢献を、創業以来の「情熱」を以て実現するという、企業の強い決意と役割を表明。

9. 一つの物語が、新しい体験を創造する。

物語、体験、創造

第四の鞘(信念)、第二の鞘(活動)

創業の「物語」から生まれた独自の哲学や思想が、これまでにない新しい製品・サービス「体験」を生み出すことを示唆。

10. 信頼が織りなす、幸福なエコシステム。

信頼、幸福、共生

第三の鞘(能力)、第五の鞘(CI)、第一の鞘(環境)

企業が築く「信頼」の関係性が、顧客や社会との間に「幸福」を生み出し、相互に支え合う「共生」的なエコシステムを形成するという、多層的な価値を表現。

 

9. 今後の展開と推奨事項



スローガンの社内外への浸透

 

スローガンは、単に掲げるだけではその真価を発揮しません。従業員一人ひとりがその言葉の意味を理解し、日々の業務で体現することで、顧客への説得力が増し、ブランドに対する信頼が深まります 25。スローガンを企業文化に深く浸透させるためには、代表者自らがその言葉に込められた「物語」を語り続け、全社的なワークショップや行動規範に反映させるなど、継続的な取り組みが不可欠です 2。社員がスローガンを自身の仕事の意義と結びつけることができれば、組織全体のエンゲージメント向上に繋がります 3

 

「幸福的成長」の定義と評価

 

「幸福的成長」という概念は、抽象的であるため、その達成度を測るための具体的な指標を設定することが推奨されます。例えば、顧客の幸福度を測るための顧客満足度(CSAT)や顧客体験(CX)の指標 12、従業員の幸福度を測るための従業員エンゲージメント指標、そして社会への貢献度を測るためのESG(環境・社会・ガバナンス)指標 9などを複合的に用いることで、企業の「幸福的成長」を多角的に評価し、継続的な改善サイクルを回すことが可能となります。

 

結論

 

スローガンは、企業の「幸福的成長」という最上位のゴールを社会に約束する、強力な「プロミス」です。本報告書で提案した「5つの鞘」のフレームワークと、それに基づくスローガン案は、貴社が追求する多層的な価値観を一貫したメッセージとして統合し、すべてのステークホルダーとの間に深い共感と信頼を築くための羅針盤となることと確信しております。この戦略的アプローチが、貴社の長期的なブランド価値向上と持続的な発展の一助となることを心から願っております。

引用文献

  1. ミッション、経営理念、パーパス、クレド、目標の違い - 『日本の人事部』, 8月 17, 2025にアクセス、 https://jinjibu.jp/keyword/detl/1481/
  2. タグラインとは?企業価値を表現する秘訣―日光コラムvol.39― - 株式会社日光プロセス, 8月 17, 2025にアクセス、 https://nikkop.co.jp/column/tagline
  3. ニューロロジカルレベルとは? NLP、統一ワーク、学ぶ方法 - カオナビ, 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.kaonavi.jp/dictionary/neurological-level/
  4. ニューロ・ロジカル・レベルとは?基本的な考え方と活用方法を解説, 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.nlpjapan.co.jp/nlp-focus/neuro-logical-level.html
  5. タグラインとは?キャッチコピーとの違いは?ー意味解説、事例 ..., 8月 17, 2025にアクセス、 https://sevendex.com/post/593/
  6. スローガンの作り方とは?企業ブランドを高めるコツや事例を解説 | マネーフォワード クラウドERP, 8月 17, 2025にアクセス、 https://biz.moneyforward.com/erp/basic/3939/
  7. 【事例あり】タグラインとは?キャッチコピーとの違いや作り方を解説 | 株式会社ニジボックス, 8月 17, 2025にアクセス、 https://blog.nijibox.jp/article/tagline/
  8. 「持続可能性」で企業価値アップ! サステナブル・ブランディング入門 - HintClip - 共同印刷, 8月 17, 2025にアクセス、 https://hc.kyodoprinting.co.jp/article/1926/
  9. 企業が注目すべきサステナビリティ・キーワード5選 | Neuromagic Blog, 8月 17, 2025にアクセス、 https://sdg.neuromagic.com/sustainability_trends/
  10. 創業者精神 - 大和ハウス工業, 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.daiwahouse.co.jp/sustainable/csr/pdfs/2020/BusinessConcept.pdf
  11. ファッション企業のサステナビリティ目標を徹底解説!業界が取り組む「環境に優しい未来」へのロードマップ - Shima Seiki, 8月 17, 2025にアクセス、 https://spotlight.shimaseiki.com/ja-jp/wearware/toward_sustainability
  12. CX(顧客体験)とは|顧客の体験価値を生み出す要素と向上のポイント | Ninout(ナインアウト), 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.ninout.ai/blog/posts/cx-20200416/
  13. CX(カスタマー・エクスペリエンス) | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI), 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/cx.html
  14. 提供価値とは?提供価値を見直し、自社サービス・製品を改善する方法 | パキシーノ株式会社, 8月 17, 2025にアクセス、 https://paxinno.co.jp/value-proposition-understanding-and-process/
  15. 課題解決とは?職場での具体例や解決方法、フレームワークを紹介 - マネーフォワード クラウド, 8月 17, 2025にアクセス、 https://biz.moneyforward.com/work-efficiency/basic/5726/
  16. タグラインとは?キャッチコピーとの違い、有名企業の事例や具体的な作り方 - TOPPANクロレ, 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.toppan-colorer.co.jp/column/tag-line-20241023/
  17. 話題のビジネスワード「パーパス」が注目を集める理由, 8月 17, 2025にアクセス、 https://amlogs.co.jp/?p=7425
  18. 有名企業の理念・よく検索される理念50社分を一覧にまとめました - 株式会社ソリューション, 8月 17, 2025にアクセス、 https://solution-hr.com/sol/assembly/philosophy2.html
  19. ブランドスローガンNew Sustainable Growth - NSGグループ, 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.nsg.gr.jp/slogan.html
  20. 企業ブランディング成功事例12選!成功させるコツや必要な準備も紹介 - WEBマーケティングの瓦版, 8月 17, 2025にアクセス、 https://dream-up.co.jp/marketing/media/corporate-branding-success-stories/
  21. ブランドストーリーテリング:顧客の共感を生み、関係性を強化する - 月刊タレンタル, 8月 17, 2025にアクセス、 https://bizdev-career.jp/2025/01/17/brand/
  22. ストーリーテリングの成功事例10選と4つのコツ【ビジネス版】, 8月 17, 2025にアクセス、 https://forcenavi.jp/storytelling-case/
  23. ニューロロジカルレベルのセッションの有効性について, 8月 17, 2025にアクセス、 https://www.kwansei.ac.jp/cms/kwansei/pdf/educational/industry/0000027856.pdf
  24. パナソニックグループの存在意義(パーパス)を表すブランド ..., 8月 17, 2025にアクセス、 https://news.panasonic.com/jp/press/jn220401-9
  25. 企業ブランディングの成功に欠かせないブランドコンセプトとは?事例を交えて解説, 8月 17, 2025にアクセス、 https://tomorrowgate.co.jp/blog/4886/