Fubuki Journal

AIが作る「綺麗な退屈」の中で、私たちが人間であり続けるためのたった一つの方法。

2025年12月11日

こんにちは。フブキの角川です。

ここ最近、SNSのタイムラインを眺めていて、奇妙な感覚に襲われることはありませんか?

流れてくる画像も、文章も、動画も。どれもこれも、どこか似通っている。「整っているけれど、引っかかりがない」。

それもそのはずです。

私たちが日々触れる情報メディアは、AIのアルゴリズムによって最適化され、これから先、コンテンツそのものもAIが自動生成するようになる。

2027年、あるいはもっと早く、世界は「AIが作った正解」で埋め尽くされるでしょう。

ミスがなく、効率的で、誰も傷つけない、綺麗な世界。

でも、それは裏を返せば、**「猛烈に退屈なコモディティ(均質化)の世界」**でもあります。

そんな時代に、私たち人類が「私はここにいる」と、唯一無二の存在証明をするにはどうすればいいのか。

あなたの中の「魔術」を解き放て

答えはシンプルです。AIが嫌うものを出せばいい。

それが**「ノイズ(雑味)」**です。

あなたの内側にある、非合理な偏愛。説明のつかない美学。他人には理解されないかもしれない熱情。

AIはこれを「エラー」として処理し、排除しようとします。だからこそ、価値があるんです。

整えなくていい。加工しなくていい。

自分自身と深く向き合った時に溢れ出てくるものを、そのまま垂れ流すようにポストする。

「こんなことを言ったら変に思われるかな?」「統一感がないって言われるかな?」

そんな遠慮は、もう捨てましょう。

マルケスが描いた、カオスという名の真実

私が敬愛する作家、ガブリエル・ガルシア=マルケス。

彼の代表作『百年の孤独』に代表される「魔術的リアリズム」の世界は、現実と幻想、生と死がごちゃ混ぜになった、とてつもないカオス(ノイズ)のエネルギーで満ちています。

整然としたAIの世界とは対極にある、あの泥臭くも美しい世界。

マルケスは、ある作品の中で(※『コレラの時代の愛』などに見られる思想として)こう語っています。

「人間は、母親が産み落とした日に生まれたのではなく、人生が自分自身を産み落とすよう強いるたびに、何度も生まれ変わるのだ。」

私たちは、AIという巨大なシステムに飼い慣らされるために生まれてきたのではありません。

自分の内側から湧き上がる「ノイズ」を表現し、自分自身で自分を何度も産み落とすために生きているはずです。

21世紀のコミュニケーションとは

綺麗にパッケージされた情報を交換し合うのは、もうAIに任せましょう。

これからの私たちに必要なコミュニケーション。

それは、一人の人間が、自己と向き合い、そこから発露した「生のノイズ」を、遠慮なく世界に投げかけること。そして、他者のノイズを受け止め、共鳴することです。

写真でも、音楽でも、ビジネスの哲学でもいい。

あなたのタイムラインを、あなただけの「魔術的リアリズム」で埋め尽くしてください。

整っていない、カオスなあなた自身を垂れ流すこと。

それこそが、AIには絶対に到達できない、21世紀における最強の自己承認であり、唯一無二の戦略になると私は確信しています。

株式会社フブキ

代表取締役 角川英治

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