
Review
2021年09月27日配信
ファインダーで切り取られた景色は、一人の人間の視界に限界があることをそのままに可視化します。けれどもその「分限・分際」のうちに、言いようもなく不可思議で素晴らしい光が、瞬間に像を結ばせることもあるのでしょう。写真家のそれを目にする時、ただの一人の人間でしかないことを「あきらめ」ることは、この世界を「あきらかに見る」ことにもつながるのだと気付かされます。ただ一人の人間であることをあきらかに見るなら、自らの「分限・分際」に映し込まれたその光景を、あきらめることなく見続けようと、覚悟するしかありません。
果てしない濁流を漂うその舟の、往く先を照らす光に刮目していようと思います。
(掲載の写真は、2019年の春彼岸に石黒健治さんと能登半島を旅した時に見た朝の景色です。)
河上朋弘 Kawakami Hougu
浄土真宗の大乗在家仏教僧侶。富山市東岩瀬町・慶集寺(きょうしゅうじ)住職。
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